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- 2020年2月:「ケーキの切れない非行少年たち」
「ケーキの切れない非行少年たち」
- 2020年2月17日
話題の本を読んでみました。ニュースを見ていて、加害者側の発言に違和感を感じることが多くなりました。自分が起こした事件の重大さがまるで分かっていないような、幼稚でどこか他人事のような・・・。
被害を受けた方や遺族の感情を全く理解できていない発言は、少なくとも罪悪感を感じているからこそ向き合いたくない、自分が起こした事から目をそらして逃げたいと思っているのだと思っていました。しかしこの本には「反省以前の問題」と書いていました。一例をあげると、殺人を犯した少年に、更生のスタートとして自分のことを正しく知ることをさせます。「自分はどんな人間だと思うか」という問いに少年は「自分は優しい」と答えます。さらにどんなところ?と聞くと「小さい子やお年寄りに優しい」「友達から優しいって言われる」と答えます。君は○○をして人が亡くなっているね。それは殺人だけどそれでも優しい?と聞くと「あー、優しくないです」と答えます。そこまで言わないと気付かなかったのです。こういう少年に反省や後悔の気持ちはなく被害者遺族に謝罪などできるわけがありません。法を犯した少年たちの多くに、本のタイトルにあるように丸いケーキを三等分にわけることが出来ない子がいます。検査をすれば軽度知的障害や境界知能と診断されるようです。見る力・聞く力・想像する力が弱く、小学校低学年から勉強についていけなくなり、学習面だけでなく対人関係もうまくいかず、馬鹿にされいじめを経験している、先生からも厄介な子として扱われているというものです。ありがちな「褒めて伸ばす」の方法も、勉強についていけずイライラ粗暴になっている子に足が速くてスゴイ!!と言ってみたところで何の解決にもなりません。義務教育を外れれば完全に養育・支援の網からこぼれてしまいます。軽度知的障害は人口の約14%の割合で、境界知能と言われても様子をみましょう・・のまま何の支援もなく、本人は生きづらさを抱えたまま成長します。お金がなければ盗むという単純な発想しかなく、悪い誘いを受ければ簡単に乗っかり、犯罪を犯しても反省が出来ず葛藤ももてないようになってしまいます。この本を読むとただ単に「自分のしたことに真摯に向き合っていない」という法を犯した少年の姿勢をまさに「反省以前の問題」ととらえることができます。そういった少年に反省できる能力を身につけさせることを今の少年院ではできていませんし、そのシステムも人員も整っていません。もともと小さい頃から、発するSOSを周りの大人がキャッチし、その子にあった勉強法やトレーニングで支援し、生きづらさを楽にしてあげられてたらもっと違う生き方ができるはずです。早くそうした取り組みや専門家の育成が出来て欲しいです。自分を含めしっかりしろ、大人!!と思わされた一冊でした。